この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
サキュバスちゃんの純情《長編》
第7章 傷にキス

「ご両親がいない家に送り届けるのは大変だとは思いますが、あの、くれぐれも……」
「大丈夫です。ご心配くださってありがとうございます」

 書類を書き終えて、ケントくんのほうへと向かう。ケントくんは二ヘラと笑って私に抱きついてこようとする。
 どれだけ飲んだのか、かなり酒臭い。未成年だと言うのに、まったく、もう。

「ケントくん、帰るよ!」
「はーい! あかりちゃんごめんねー!」
「皆様、ご迷惑をおかけいたしました!」
「おかけしましたー!」

 苦笑する警察官たちと小畑さんに見送られて、新代署をあとにする。
 酔っ払い未成年を電車で送るのは至難の業だ。その最中に、私が他の署の人に淫行条例違反で捕まってしまうかもしれない。何が起きるかわからない。
 仕方なく、署の前でタクシーをつかまえ、ケントくんに家の住所を尋ねる。

「なに、言っているの。家には帰らないよ」
「ケントくんこそ、何言っているの。帰りなさい」
「聞いたでしょ? 僕の両親はスウェーデンに帰省中で、夏の間は帰ってこない。所持金もほぼナシ。明日僕がお金を引き出すまで、あかりちゃんが面倒見てよ」
「……」
「それとも、コハちんの前でキスして、二人で仲良く警察署で過ごす?」

 細められた茶色の瞳には、悪意しかない。
 天使の皮をかぶった悪魔、か。

 チラと署の玄関を見ると、確かに小畑さんがまだこちらを見ている。いろいろ、怪しまれているということだ。

「……明日の朝まで、だからね」

 溜め息をつきながら、運転手に行き先を告げる。いつものコンビニ。

 あぁ、もう、なんて週末なの――。

/581ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ