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サキュバスちゃんの純情《長編》
第7章 傷にキス

 今までの誰とも違うキス、だった。

 拒んでいたはずの舌の侵入は、「甘いの欲しいでしょ?」という声にあっさりと降参し、言葉通りに甘くて深いキスを受け入れている。

 なに、これ?
 ケントくんの唇が、舌が、唾液が、欲しくてたまらない。
 もっと、欲しい。
 もっと、キスしたい。

 一気に、思考がおかしくなる。欲に狂ってしまったかのように、欲しくて欲しくてたまらない。
 荒い息のまま、ケントくんの舌を求める。もっとちょうだい、とねだる。

「あかりちゃん、同族とするの、初めて?」
「どう、ぞく?」
「あかりちゃんはサキュバス。僕は――」

 そうか。彼は天使なんかじゃない。私と同じ――。

「――インキュバス」

 私は精液を、ケントくんは愛液を欲する、悪魔?
 血を欲する生物がいるのなら、同族――同じように体液を求める生物もいるだろう。
 道理で、ケントくんに惹かれたわけだ。彼の精液が欲しい、と。

「キス、美味しいでしょ?」
「ん……甘い」
「それ、あかりちゃんとセックスした誰もが思っていることだから」

 甘い……みんな、私のことを「甘い」って言う。それは、こういうこと? こんな感じなの?

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