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サキュバスちゃんの純情《長編》
第7章 傷にキス

「ヨーロッパには、たくさんいるんだ。日本ではあかりちゃんが初めてだけど」

 ゆっくり、じわりと体が揺れる。性急なセックスではなく、穏やかな抽挿。それでも、思考はぐずぐずにとろけている。

「向こうのほうが過ごしやすいよ、僕たちみたいな種族は。協会、っていうのかな? 保護団体みたいなものもあるから、身分を変えることも難しくない」

 それは、確かに、魅力的な話だ。日本では身分を変えるのも一苦労。代行してくれるなら、ありがたい。

「ね、あかりちゃん」
「あっ、あ、そこ、ダメっ」
「僕とのセックス、気持ちいいよね? ずっとしていたいよね?」

 亀頭が中のいいところを突く。何度も何度も突いて、私を絶頂へと導いていく。

「僕、初めて会ったときから、あかりちゃんを抱きたくて、味わいたくて仕方なかった」

 甘い誘惑。
 溺れてしまいそうなくらいに、甘い波。
 緩やかだった波が一気に大きくうねり、体をさらい、深みへと連れて行く。

「でも、今夜まで我慢したんだ。連絡するのも、女を抱くのも。まぁ、あの女を抱いても良かったけど、お腹が空きすぎて寝ちゃったし。結果的にあかりちゃんに会えたから、いいんだ」

 欲しい。君が欲しい。君のすべてが。
 ケントくんの気持ちがこぼれて、ポタリ落ちる。肌を滑っていく汗は、やはり熱い。

「……濃いの、注いであげる。逃げないでね」

 腰を強く掴むケントくんの笑みが、歪む。

「まぁ、逃げられないか。手錠もしてあるし、気持ちいいし」
「ケントく……?」
「そのままおとなしく、僕の子を孕んで」

 同族――その意味に、私はようやく気づく。
 人間の精液では妊娠しないけれど、同族なら、それが、可能?
 そんな、まさか。

 その可能性に、ゾッとする。
 手錠が、不気味に音を立てる。

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