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サキュバスちゃんの純情《長編》
第1章 情事と事情

翔吾くんが住んでいるマンションは、高層だけでなく高級でもある。
ロビーは広いし、プールやジムなどの共同施設も充実している。コンシェルジュは常駐しているし、セキュリティも万全だ。芸能人が住んでいても不思議ではない。
部屋もそれぞれがやたら広くて、至るところに大理石が使われていて、夜景が一望できるよう窓も広い。洗面台もキッチンもオシャレだ。
そんな内装に合うように家具も家電も高そうなものが置かれているし、週に一度はハウスキーパーさんが来るように手配されているという。
大学生が住むには高級すぎると思うけど、広々とした湯船に熱い湯を張って、足を伸ばして入浴できるのはありがたい。バラの香りの入浴剤まで入れて、ゆっくりバスタイム。
こんな贅沢、私のワンルームのアパートではできない。
翔吾くんは私が入浴している間に買い物へ行ってしまった。私の下着を買ってくると言っていたけれど、下着だけですむとは思えない。私には不似合いな服を買ってきてしまいそうで恐ろしい。
そうなったら、一着だけもらってあとは返品してもらおう。「いらない」と言っているのにプレゼントをしたがる男の気持ちは、本当に理解できない。
真っ白なバスタオルはふわふわ。めちゃくちゃ吸水性が良い。濡れた髪の水分もぐんぐん吸い取ってくれる。
翔吾くんは洗濯なんてしそうにないから、クリーニングにでも出すのだろう。まっさらな匂いがする。
翔吾くんが準備してくれていたTシャツはぶかぶかで、私のおしりまですっぽり隠してくれる。これならノーパンでも大丈夫そうだ。
「っあー、いいお湯だったぁ!」
髪はまだ生乾きのまま、脱衣所から出て伸びをする。大理石の床の冷たさが心地よい。
「……下着くらいはけば?」
翔吾くんとは温度差のある声に、私は伸びをしたまま硬直する。目だけ動かして声の主をキッチンに見つけると、慌てて両手を下ろしてTシャツの前を押さえた。
ヤバイ、見られた!?

