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サキュバスちゃんの純情《長編》
第7章 傷にキス
「いくら精液をあかりちゃんの中に注いだところで、僕の子は孕めない」
「ケン――」
「どんなに同族同士、愛し合っていたとしても」
悲しげな声は、私への言葉じゃない。それくらい、わかる。
「僕は、愛する人が一番欲しがるものを、与えてあげられないんだ」
そんな悲しげな言葉に絆されたわけじゃない。絆されたわけじゃないけど。
「……ごめん、あかりちゃん」
ずるりと抜かれた肉棒は、既に萎えていた。
膣口から、一緒に何かが溢れ出る。太腿を伝うそれを、ケントくんがティッシュで拭いてくれる。
拭いても拭いても溢れるのが精液なら、ほんと、どれだけ出したの……呆れてしまう。
「ごめん。完全に、八つ当たりなんだ」
「……許さないよ」
「うん。許さないで。僕が悪いんだ」
「そんな、殊勝なこと、言ったって」
カチャと手錠が解錠される。部屋の電気はケントくんがつけてくれた。
久々に自由になった手のひらを見つめて、はぁと溜め息をつく。手首に痕は、ない。さすが相馬さんの試作品。
「いいよ、殴って」
「……殴らない。ビンタさせて」
「はい、どうぞ。思い切り、ね」
綺麗な顔を私に近づけて、目を閉じ、歯を食いしばる。その姿は潔い。
彼は美しい顔に愛着などないのだろうか。せっかく、エサにありつけるだけの、エサに困らないだけの造作を与えられたというのに。
右の手のひらにハァと息を吹きかけて……遠慮なく、思い切り、振りかぶる。
そして、ケントくんの左頬を、思い切り、張った。
パン、という乾いた音が狭い部屋に響く。手のひらがジンジン痛い。ケントくんは顔を上げて、笑う。