この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
サキュバスちゃんの純情《長編》
第7章 傷にキス
「僕も追えなかった」
ケントくんの指が私の手に触れる。
冷たいのか、熱いのか、わからない。
「追いたかったけど……何でだろうね。お腹が空いたからかな? 次の週には、他の女の子を抱いてた」
「そういう、種族なんだよ」
「そう、納得させるしか、ないよね」
指が、絡まる。絡め取られる。
視線が絡む。想いが交錯する。
そう。そういう種族なんだ、私たちは。
「あかりちゃん、ごめん。我慢できない。もっと触れたい」
「ケン――」
引き寄せられ、床に押し倒され、その次の瞬間には、唇が、舌がお互いを求め合う。
床に落ちていた両手を、ケントくんの首の後ろに伸ばして、抱き寄せる。
「あかり、っ」
許したわけじゃない。信じているわけじゃない。
でも、彼のこの傷口は、私でないと治せない。それだけはわかる。
今から、空腹を満たすための交わりではなくて、傷を舐め合うためだけのセックスを、始めよう――。