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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携
暖かいのは、好き。
冬は苦手だから、体温の高い男の人と一緒に布団で眠るのが好き。
抱き合って、裸で眠るのが好き。
腕枕でもいい。触れられるなら、それでいい。
温もりを求めてしまう私は、案外寂しがり屋なのかもしれない。
叡心先生は、体温が高かった。先生と眠るのは好きだった。古い家で、隙間風が吹き込んできても、先生に抱かれていれば寒くなかった。
……幸せ、だった。
暖かいのは、幸せだ。
男の人の、手のひらが、唇が、胸が、一番熱くて硬い箇所が、全身が、私を求めてくれるのは、幸せなこと。
寂しさを埋めてくれるのは、幸せなこと。
私は、自分勝手だ。
男の人が私に幸せを与えてくれるのに、私は、彼らに幸せを与えていただろうか。
セックスをすること自体が男の人にとっては幸せなことだと、思い込もうとしていた。
幸せの形なんて、みんなバラバラなのに。
結婚してほしい、湯川先生。
彼女になってほしい、翔吾くん。
開発に協力してほしい、相馬さん。
愛液がほしい、ケントくん。
健吾くんはまだわからないけど、みんなバラバラ。みんな違う。
セフレじゃ、ダメなの?
セフレじゃダメなのかな?
私は、どうすればいいんだろう。
叡心先生みたいに、添い遂げてくれる覚悟がある人になら、応じるべきだろうか。
本気で私を求めてくれる人になら、私も幸せのお返しをするべきなんだろうか。
私の正体を知ってもなお、求めてくれる人がいるなら――。
叡心先生。
私、何とか今まで生きてきましたけど、この先、どうすればいいですか?
先生、お会いしたいです。
先生に抱かれて、眠りたいです。
先生……今、どこですか?