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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携
「今日はゆっくり過ごしたい」
私は朝食の席で二人にそう宣言した。翔吾くんと健吾くんは顔を見合わせ、頷く。
「うん、いいよ」
「あかりさんの好きなように」
昨日は、酷かった。
朝から晩まで二人に貪られ、私が何度意識を手放したか。
足腰が立たなくなって、介助だと称してトイレのドアを開け放たれたり、ゆっくりしたいと一人でお風呂に入ることを望んでも、倒れるといけないからと二人一緒に入ってきたり……思い出すだけで叫び出したくなるようなことを、された。
だから、夜は一人で眠りたいと主張し、「部屋に入ってきたら別れる」と言って鍵をかけて眠った。「別れる」が効いたのか、二人は夜這いなんて真似はしなかった。
本当に、よく眠れた。
けれど、疲れは取れていない。
腰は痛いし、腕もお腹も筋肉痛だし、喘ぎすぎたのか声はちょっぴり枯れかけている。
ハタチの性欲――それも二人分に付き合うのは、本当に、疲れる。
「行きたいところ、ある?」
「癒されるところなら、たくさんあるよ」
翔吾くんが、軽井沢のガイドブックを持ってきてくれる。今年発行されたものだ。わざわざ買ってきてくれていたのだろう。
オニオンスープを飲みながら、翔吾くんがページをめくってくれるのを見る。ところどころにドッグイヤーがしてある。
「美術館を巡ってもいいし、森林浴をしてもいいし」
「滝もあったはず。湖か池も多いよな」
「教会とか古いホテルもあるね。有名な作家のゆかりの地とかも」
へぇ、結構いろいろあるんだなぁ、と覗き込みながら、二人の話を聞く。この滝は綺麗だとか、この周りには何もないとか、翔吾くんが好きなジェラートだとか、健吾くんがよく行っていた美術館だとか。聞いているだけでも楽しい。