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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

 健吾くんが連れてきてくれたのは、意外にもおしゃれな外観の小さな街のようなところ。
 ウッドデッキの上に店が建ち並び、周りは木々で覆われている。いや、木々の中に街を作った、そんな感じのする場所だ。

 ここには、来たことがない。藍川は軽井沢でも、私を外に連れ出そうとはしなかった。
 私にとっての軽井沢の記憶は、藍川の別荘とその周りの自然だけ、そして、暴力と情事だけだったのだ。

「ハルニレの木だって」
「へぇ。すごい、綺麗」

 風が吹くたび、葉擦れの音が響く。蝉時雨にも負けない緑の音が、耳に心地よい。確かに、癒やされそうだ。
 コトコトと足音をさせながら、ショップを覗いて歩く。雑貨の店や飲食店、軽食の店もある。

 ジェラートを買って、木陰のベンチに座る。私はバニラ、健吾くんは木いちごのジェラート。ミルクの味が濃く、とても美味しい。
 お互いのジェラートをシェアしながら、溶けない程度にのんびり過ごす。

「昨日は、ごめん」
「いいよ。しんどかったけど」

 観光客が多いのか、避暑で訪れている人が多いのか、歩く人々を見るだけだとわからない。みんな、高そうな服を着ているように見える。そして、誰も急ぐことはせず、穏やかだ。
 都会の喧騒から離れ、穏やかな時間を過ごしたい、そんな人たちで溢れている。

「気づいていると思うけど……翔吾がおかしい」
「……やっぱり、そう思う?」

 健吾くんもそう思っていた、か。なら、やっぱりそうなのだろう。翔吾くんの態度がおかしい。

「翔吾が、あかりさんの連絡先を渡してくるちょっと前から、おかしかった。たぶん、俺があかりさんを抱きたいと思っていることが、翔吾に伝わったときからだ」
「ご飯、食べた日だね?」
「そう、かもしれない。いや、もう少し前かも。でも、あれが決定打だった」

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