この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

 お昼ご飯を街の中にあったフレンチで食べたあと、健吾くんは車を走らせる。どこへ向かっているのかはわからない。
 スピーカーからは、軽快なポップス。ラジオ番組で使用されているのは、新しい曲なのだろう。健吾くんは時折歌詞を口ずさむ。

「……覚えてるもんだな」

 車が停まった先に見えたのは、河原の近くのキャンプ場。いくつかテントが張ってあり、バーベキューの準備をしている家族が見える。

 車から降りて、小石の道を行く。足元は少し不安定。川の流れは穏やかで、子どもたちが水着を着て遊んでいる。
 あぁ、この風景……見たことある。

「もう、溺れないでね。今日は水着着ていないから」

 健吾くんは、立ち止まって、苦笑する。

「大丈夫だよ。もう、溺れたりしない」

 ここは、健吾くんと私が出会った場所。
 彼が溺れて、私が助けた場所だ。

「あのときは、川が前日の雨で増水していて、気をつけるように言われていたんだけど、足を滑らせてしまって」

 サンダルを脱ぎ、岩に腰を下ろして、川に足を浸す。ひやりと冷たい水。気持ちいい。
 川の水は澄んでいる。サラサラとゆっくりと流れていく。日差しの照り返しが強いけど、涼しい風が吹いているせいか、暑すぎることはない。

「パニックになると、ダメだな。俺、泳ぐのは得意だったんだけど」
「そう、だったんだ」
「あのときは、みんなパニックで、親もレスキューを呼ぶか救急車を呼ぶかで慌てていたし、流れが速くて大人が泳いでも追いつけなくて……川下にあかりがいてくれて、良かった」

 そうだね。私が水着を着ていて、泳ぐのが得意で、良かった。

/581ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ