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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「今、何時?」
「十二時。お腹空いたなぁ……ん?」
「じゃあ、私、何か作るよ。昨日のご飯も残ってるし」

 青いスマートフォンのランプが点滅している。翔吾くんは「誰だろう」と首を傾げながらメッセージを読み始める。
 私はショーツをはいて、ブラを身に着けながら、翔吾くんの様子がおかしいことに気づく。

「翔吾くん?」
「……嘘だろ。ちょっと、待てって。今、何時だっけ?」
「十二時、だよね?」
「……ヤバい、あかり。二時間、健吾からのメッセ放ったらかしてた……金沢から二時間ってことは」

 翔吾くんのボクサーパンツを見つけ、手渡そうとしたときだ。

「しょうごー! 来たわよー!」

 別荘中に響き渡る女の人の声が、リビングのほうから聞こえた。施錠は翔吾くんならちゃんとしているはずだ。でも、女の人は別荘の中に、いる。鍵を持っているということ?

「え?」
「……最悪だ」
「翔吾くん?」
「しょうごー! いるのはわかってんのよー! 早く出てこないと、こっちから行くわよー!」

 全裸で頭を抱えた翔吾くんは、「それはマズい」と呟いたあと、すぐさま叫んだ。

「今から行くから、ちょっと待ってて!」

 叫んだあとで、翔吾くんは私を見つめて「ごめん」と頭を下げた。

「……両親が来た」

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