この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
サキュバスちゃんの純情《長編》
第9章 記憶と記録
ミチさんの白い肌に吸い付きたい。
ミチさんの肌はどれほど滑らかで、どれほど熱を持っているのか、知りたい。
ミチさんを笑わせたい。
絵の中でなく、実物に触れたい。
私を見て欲しい。
私を慕って欲しい。
夜毎、想いが募る。
狂ってしまいそうだ。
いっそ、狂ってしまいたい。
こんな激しい恋情など、なくなってしまえばいい。
どんなに身を焦がしても、ミチさんは私のものにはならない。
求めても、得られないのだ。
叡心の家に行く。そして、着崩れた着物のまま、微動だにせず縁側に横たわるミチさんと、絵を描き続ける叡心の姿を見つける。
美しい光景だった。
情事のあとか、それとも、その直前か。判断はできなかったが、美しかった。
美しい女が欲しい。
いや、ミチさんが欲しい。
私なんかが手を出してはいけないのだと思えば思うほど、苦しい。嫉妬で狂いそうだ。いや、もう狂っているのか。
明日、叡心に話をしよう。
叡心を診療所に呼び寄せ、話をする。
衣食住と絵の買い取りを約束する代わり、私の言うことには絶対に従ってもらう、と。
画廊を通さない分、叡心の実入りも太くなる。どんな絵であっても文句はつけないと伝えたら、叡心は喜んでいた。
叡心は二つ返事で了承した。
準備は整った。