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サキュバスちゃんの純情《長編》
第9章 記憶と記録
いつ、ミチさんを呼び寄せようか。
いつ、叡心に話をしようか。
美しい絵、美しいミチさんが増えていく。私の心を埋める絵が増えるたび、どす黒い心も増えていく。
あぁ、早く、早く、ミチさんを抱きたい。
叡心が外出をしているときに、たまたまミチさんと話をすることができた。
身上話などしたくないとは言っていたが、無理に聞き出す。あのとき街娼から聞いた話とそう変わりはなかった。
しかし、ミチさんの好物はわかった。少しずつ贈ろうと思う。
今日は叡心の家に桃を持って行った。ミチさんは喜んでくれるだろうか。
縁側に横たわるミチさんの絵を診療所に飾っていたら、どうしても欲しいと言う老人が現れる。何度も何度も断ったが、毎日やってくる。他の絵も欲しいと言ってきたので、他の絵が見つかる前に、その絵だけ売ってしまうことにする。
叡心にもミチさんにも、申し訳のないことをした。
もう二度と、絵を売るのは御免だ。他人の目には見せないようにしなければ。
私の言うことは絶対だ。
叡心はあの約束を覚えているだろうか。いや、忘れたとは言わせない。
いつ、ミチさんを手に入れようか。
あの、美しいままの女を。
白無垢を手に入れる。
私のもとにミチさんが来たときは、これを着させてあげよう。
ミチさんに似合いそうな着物をいくつか買っておこう。何でも似合うはずだ。ミチさんは美しい。とても、美しい。
早く、手に入れたい。
あぁ、早く、抱きたい。
毎日、毎日、焦がれている。
次。次の絵が仕上がったら、叡心に言おう。妻を、ミチさんを、差し出すように。
楽しみで仕方がない。
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