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サキュバスちゃんの純情《長編》
第9章 記憶と記録
夜、ミチさんが裏口から訪ねてきた。私はようやく、叡心の妻を手に入れたのだ。
既に人払いはしてあったので、ミチさんを家に上げ、離れに連れていき、白無垢と色打掛を見せてどちらがいいか選ばせる。ミチさんは赤い色打掛を選んだ。
色打掛を着て化粧をしたミチさんは、とても美しい。触れてもいいのかと戸惑うほどに美しかった。
私の妻になれ、と自然と口にしてしまっていた。けれども、ミチさんは頷かない。ただ、冷たい目で、笑いもせず、泣きもせず、私を見据えただけだった。
強情な女を組み敷いて、私は願う。
妻になって欲しい。
笑って欲しい。
私を、慕って欲しい。
私のものになって欲しい。
しかし、願いは、叶わない。
強情な女は喘ぎ声一つもあげず、私を迎え入れ、その膣内で精を受け入れた。
孕んで欲しい。私のものにならないのなら、せめて私の子を孕んで、産んで欲しい。
狂おしいほどに美味な体に、何度も精を放ち、私は切にそう願った。
今夜もミチさんを抱く。
能面のように表情を変えないミチさんに、何度も妻になるように説得する。けれども、拒絶される。
なぜ、私の想いを受け取ってくれない。
なぜ、笑ってくれない。
なぜ、私の子を孕んでくれない。
なぜ、なぜ、なぜ。
なぜ、それでも、私はミチさんを慕い続けるのか。
いつかミチさんが私のことを慕ってくれると信じるしかない。