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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白
派遣社員は基本的には定時で仕事が終わる。佐々木先輩が息子さんを保育園に迎えに行くために、脱兎のごとく駆け出すのはいつものこと。
『あと一時間くらいで終わらせるから、悪いんだけどスターカフェで待ってて』と、荒木さんからメッセージを受け取り、帰り支度をして「お疲れ様でした」と営業部を出る。
横断歩道を渡り、星のマークが特長のカフェに入り、アイスカフェオレを頼む。苦い思い出ばかりのカウンターではなく、通りから見えない二人がけの席に座る。
ヴヴとスマートフォンが鳴り、メッセージの受信を知らせてくれる。荒木さんかな、と思って見てみると、意外な人からだった。
『久しぶり。今週か来週会える? 平日の夜でもいいよ』
……相馬さんと平日の夜にセックスするのは結構疲れるからなぁ。できれば、金曜か土曜かなぁ。
そう思いながら、スケジュールを確認する。今朝『今週か来週お暇ですか?』と湯川先生に送ったメッセージに返信はない。今週末は翔吾くんは合宿で会えない。
さて、どうしようかなぁと悩んでいると、さらにメッセージが増える。
『あ、お土産渡したいだけなんだ。一緒にご飯食べよう』
相馬さんからそう誘われるのは珍しい。今日は荒木さんと言い、珍しいことばかり起きている。
でも、セックスなしで会うにしても、今週末の精液確保も考えなければならないし……そうすると、都合がいいのは相馬さんとセックスすることなんだけどなぁ。
ここは、相馬さんに判断を委ねよう。
『明日から日曜まで暇ですよ』
『じゃあ、明日。場所はあとで連絡するね』
返信早いなぁ、よほど日持ちしないお土産なんだなぁ、なんて思いながら、今週末の精液確保に思いを馳せる。
できれば湯川先生に会いたいけど、先生が無理なら、健吾くんかケントくん? ケントくんよりは健吾くんのほうが誘いやすい、かなぁ。でも、翔吾くんとのこともあるし、ちょっとだけ気後れしてしまう。ケントくんも、結構がっついてくるからハードだし。
やっぱり、湯川先生に会いたいなぁ。
そう思いながら、湯川先生とのメッセージ画面を見る。朝送ったメッセージが既読にすらならないから、きっと忙しいのだろう。ちょっと寂しい。
私、案外寂しがり屋なんだなぁ。