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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白
「桜井翔吾と健吾は俺のはとこ、だよ」
荒木さんの笑顔。
あの、ちょっと、理解が追いつかないのですが。
「軽井沢で、新幹線に乗ってきたよね、翔吾と」
サァ、と血の気が引く。
見られて、いた? 手を繋いでホームで待っていたあの姿を、見られていた?
「月野さんが翔吾と付き合っていたなんて、知らなかったよ。世間は本当に狭いね」
佐々木先輩、ごめんなさい。
私、告白できなくなってしまいました。日向さんと同じ土俵にすら立てませんでした。
明日にでも、結果をお伝えすることができそうです。
見事に玉砕です、と。
「翔吾とは結婚するの? 良いやつだよね、あいつ」
笑顔で聞いてくる荒木さんに、私は曖昧な笑みを浮かべるしかできない。既に荒木さんのスマートフォンの画面は真っ暗。私の気持ちも真っ暗だ。
誤解です、とも言えない関係になってしまったのだ。翔吾くんとは。
どうしようもない。こんな状況で「あなたのことも好きです」なんて言えない。
本当に……どうしようもないよ……。