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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白
「あ、そうだ、あかり。俺、引っ越すんだ」
「へぇ。どこに?」
「静岡」
口に含んだビールを吹き出しそうになった。
静岡!?
「ようやくリョーコちゃんと結婚できそうなんだよね。で、せっかくだからリョーコちゃんちの実家で働かせてもらおうと思って」
「わ、おめでとう!」
「ん、ありがとー! だから、来月には静岡に引っ越すよ。今日、会社にも話をつけてきた。あ、これ、静岡のお土産ね」
かわいらしいパッケージのお土産がテーブルの上に置かれる。なるほど、日持ちはしそうだけど、来月に静岡に引っ越すなら、確かに挨拶する時間はない。
それにしても、相変わらず、スゴい行動力。
あれ、でも、結婚で引っ越すということは、セフレ解消、ってこと?
「相馬さん、それって」
「そ。セフレ、続けられなくなってごめんね」
宮野さんみたいにしんみりとした別れではない。あっけらかんと相馬さんは笑う。そうだ、相馬さんはそうでなくちゃ。
私も、結婚なら仕方ないかぁと笑うだけだ。
「だから、あかりにコレあげようと思って」
紙袋の中身をバーンと出されて、私は「ひあぁ」と変な声を出してしまう。
透明な箱に入れられた、黒光りする極太くん。相馬さんのよりは小さいけど、十分太い憎いやつ。
パステルブルーのかわいらしいブルブルちゃん。いや、名前はかわいいけど、凶悪なモーター回転数なんだよね、これ。
匂い付きのローションに、手錠に。あの、男性向けのやつまでありますけど。
「あ、これは俺が開発途中のやつで」
「相馬さん、しまって! しまって!」
いくら未使用のものでも、居酒屋のテーブルの上に広げていいものじゃないから!
店員さんが食べ物を運んでくる前に紙袋の中に放り込む。