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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白
「あのね、相馬さん。それ、いらない」
「ええー! せっかくあかりのために見繕ってきたのに! 職質されたらヤバイからスーツのまま持ってきたのに!」
「……気持ちだけもらっておきます」
それにしても、相馬さんが結婚かぁ。何だか、一番現実味がないと言うか、何と言うか。
「良かったね、結婚できて」
「んー、リョーコちゃんの元旦那に感謝かな」
「仲を取り持ってくれたの?」
「あ、殴られて怪我したの、俺。だから、会えなかったんだよね。ごめんね。リョーコちゃんも殴られちゃったんだけど、被害届も出せたし、結果的にリョーコちゃんと仲良くなれたから、元旦那のおかげかなって」
……なんか、どこかで聞いたような話だなぁ。うん、似たような話をどこかで聞いた。
「相馬さん、リョーコさんは息子さんがいるんだよね?」
「そう、二歳の。ちょーかわいいよ。俺のことリョーちゃんって呼ぶんだよ。早く父ちゃんって呼んでもらいたいよね」
「リョーコさんの実家は製造業?」
「うん。静岡の企業の孫請け会社だよ」
「リョーコさんは、風俗嬢、なんだよね?」
「そそ。デリヘル嬢。でも、昼は普通に仕事してるよ。週末に時間があるときだけ、嬢をしているんじゃないかな」
「リョーコ、って、源氏名だよね?」
「うん、本名は違うよ」
いや、もう、よほどのことでは驚かない私だけど、こればかりは言わせて欲しい。
嘘でしょ?
先輩、お金が必要だからって、夜の仕事もしていたんですか? いや、お金が必要だっていう気持ちはよくわかりますよ? 私も最初はそうでしたから。
でも、やっぱり、信じられない。
嘘、ですよね?