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サキュバスちゃんの純情《長編》
第1章 情事と事情

吸血鬼が血を求める種族なら、私は吸精鬼といったところか。
精液が私の一番のエネルギー源だ。
淫魔やサキュバスと呼ばれることもある。なんと呼ばれても本質は同じ。食事のために男を誘惑し、精液を搾り取る。精液を摂取するのは、口でも膣でも構わない。
私にとってセックスは、食事なのだ。一週間に一回は摂取しないと、エネルギー切れで倒れてしまう。
腰にタオルを巻いて、先生は水を飲む。
「来週は?」
「学会で北海道。カニでも買ってこようか?」
「そんな高いもの、いらないよ」
ペットボトルの水を先生はくれたけれど、飲まなくても大丈夫。喉の渇きも空腹も、三回出してもらったから満たされている。
ベッドサイドに水を置いて、首元で揺れるキラキラのネックレスに触れる。プラチナのチェーンとトップス、と聞いただけで値段が高いことはわかった。先週学会で行ったニューヨークで買ったものだそうだ。
「ほんとはこのネックレスもいらないよ」
「あかりは物欲がないなぁ。美味しい食べ物もいらないって言うし」
精液さえ出してもらえれば!
……なんて言ったら湯川先生が次から会ってくれなくなるかもしれないから、言わない。
「お金ならたくさんあるから、プレゼントくらい気軽にもらっておいてよ」
「外科医の先生は稼げるんだねぇ」
「まぁ、ね」
湯川先生は外科医。私のセックスフレンドだ。彼の体――早漏かつ回復力の速さが魅力的すぎて、手放せないのだ。
もし湯川先生が結婚したら、この関係は終わりだ。湯川先生は不倫なんて気にしないと思うけど、私はイヤだ。セフレから愛人にジョブチェンジすることは考えていない。
「来週は他の男に会うの?」
ベッドが湯川先生の重みで沈む。その程度で軋んだりはしない、高級なマットレスのようだ。さすがシティホテルのスイート。
嫉妬に濡れる視線を寄越してくる先生のキスを受け入れて、笑う。お金にも地位にも女にさえも苦労しない立場の人が私なんかのために妬いてくれるなんて、ほんとかわいい。
精液が私の一番のエネルギー源だ。
淫魔やサキュバスと呼ばれることもある。なんと呼ばれても本質は同じ。食事のために男を誘惑し、精液を搾り取る。精液を摂取するのは、口でも膣でも構わない。
私にとってセックスは、食事なのだ。一週間に一回は摂取しないと、エネルギー切れで倒れてしまう。
腰にタオルを巻いて、先生は水を飲む。
「来週は?」
「学会で北海道。カニでも買ってこようか?」
「そんな高いもの、いらないよ」
ペットボトルの水を先生はくれたけれど、飲まなくても大丈夫。喉の渇きも空腹も、三回出してもらったから満たされている。
ベッドサイドに水を置いて、首元で揺れるキラキラのネックレスに触れる。プラチナのチェーンとトップス、と聞いただけで値段が高いことはわかった。先週学会で行ったニューヨークで買ったものだそうだ。
「ほんとはこのネックレスもいらないよ」
「あかりは物欲がないなぁ。美味しい食べ物もいらないって言うし」
精液さえ出してもらえれば!
……なんて言ったら湯川先生が次から会ってくれなくなるかもしれないから、言わない。
「お金ならたくさんあるから、プレゼントくらい気軽にもらっておいてよ」
「外科医の先生は稼げるんだねぇ」
「まぁ、ね」
湯川先生は外科医。私のセックスフレンドだ。彼の体――早漏かつ回復力の速さが魅力的すぎて、手放せないのだ。
もし湯川先生が結婚したら、この関係は終わりだ。湯川先生は不倫なんて気にしないと思うけど、私はイヤだ。セフレから愛人にジョブチェンジすることは考えていない。
「来週は他の男に会うの?」
ベッドが湯川先生の重みで沈む。その程度で軋んだりはしない、高級なマットレスのようだ。さすがシティホテルのスイート。
嫉妬に濡れる視線を寄越してくる先生のキスを受け入れて、笑う。お金にも地位にも女にさえも苦労しない立場の人が私なんかのために妬いてくれるなんて、ほんとかわいい。

