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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白

「今日はどうする? ホテル行く?」
「佐々木先輩に悪いから、やめておくよ」
「あかりらしいなぁ。うん、でも、今までありがとね」

 駅の近くで握手を求められたので、応じる。
 あぁ、これで最後なんだなぁと思ってしみじみと相馬さんの笑顔を見つめる。屈託のない笑顔、好きだったなぁ。

「私こそありがとう。でも、佐々木先輩には私のこと言わないでね」
「もちろん。墓場まで持っていくよ」
「絶対に佐々木先輩を幸せにしてあげてね」
「任せといて!」

 うん、任せた! 私も応援するから!
 改札口へとスタスタ歩いていく相馬さんは手ぶらだ。……手ぶら?
 足元に目を落とし、紙袋が置かれたままであることに、ようやく気づく。

「相馬さん! 忘れ物!」
「ハハハ、あかりにあげるよ、それ!」
「ちょっと、涼介! りょーすけっ!」

 笑いながら、颯爽と去っていった相馬さん。私は、卑猥なグッズがたくさん詰まった紙袋を手に、呆然とするしかない。

 え、ちょっと、ほんと、これどうするの!? 職質かけられたらアウトじゃん! 痴女じゃん!

 それに、こんなに大量のアダルトグッズがあっても処分に困るんですけど! 精液の出ないバイブとか、本当にいらないし!

 もうっ、相馬さんのバカっ!!
 こんな置き土産、いりませんっ!

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