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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白
「隠しているからね、普段は。どうにも、俺はやりすぎてしまう傾向があるらしくて」
「やりすぎ、ですか」
「だから彼女と長続きしないんだよね。みんな逃げちゃう」
……逃げられるくらいの付き合い方って、何なんだろう。いや、想像しないほうがいいかもしれない。想像したらダメな部類のものだ。
「淡白だから……だと思っていました。そうじゃ、ないんですか?」
「飲み会ではああ言うようにしているんだよ。じゃないと、美山さんや他の会社の営業部の人にどこに連れて行かれるかわからないからね。まぁ、行ってもいいんだけど、誰を相手にしてもやりすぎてしまうから」
どこへ、とは聞かない。営業部の社員や美山さんが好きなところ、接待によく使うところくらいは知っている。
佐々木先輩がデリバリーだったのは、店だと同僚と鉢合わせしてしまったら気まずいからなんだろうなと思うくらいには、知っている。
「……なぜ、私には話したんですか?」
「月野さんは会社の誰にも言わないでしょ。佐々木さんにも。それから、翔吾にも、健吾にも」
おっしゃる通り、誰にも相談できないですね、これは。
「信頼関係も大事。相手を信頼していないと、プレイはできないから」
「……なるほど」
「付き合うからには知っておいてもらいたい部分でもあるし、ね」
相馬さん、ビンゴ。大当たりです。隠さなければならない癖(へき)、ありましたよ。それを突きつけられるとは思いませんでしたけど。
「そうそう、月野さんの甘くて美味しそうな匂いの正体が気になるんだよね。それはフェロモンなの? 金曜日は特に強いよね。花火大会の日なんて、妹尾さんが気の毒になるくらい、美味しそうな匂いだったよ」
「そんなに匂いますか?」
「うん、かなり。気づいていない人が多いけど、今日も……今も」
サキュバスの匂い、なんだろう。甘い匂いで男を誘惑しているらしいけど、私に自覚はない。
金曜日、というのは、精液が欲しくてたまらない時期だ。精液が欲しい週末になると匂いが強くなるのかもしれない。無自覚だったけど。
今度ケントくんに確認しなきゃ。