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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白

「俺は、縛るのが一番好きかな」
「……」
「ギリギリまで追い詰めるのも、かなり好き。たいていやりすぎて気絶させちゃって、『もう付き合えない』と言われてフラれるんだけど」

 聞いてません! 荒木さんの好きなプレイとか!
 あ、ソフトかハードか聞いたのは私か!? しまった! 聞かなければ良かった!!

 そんな話をされて、平静でいられるわけがない。

「月野さんは、そういうの、受け入れてくれるでしょ?」
「いや、それは、どうでしょう……自信ないです」

 手錠も縛られるのも目隠しも、ソフトなものは経験済みですけどね? 相馬さんだけじゃなくて、いろんな人と経験していますけどね?

 荒木さんとはそういうことは想像したことなかったから、本当に、困惑してしまっている。
 しかも、その口ぶりだと……なんていうか、「翔吾くんと別れて荒木さんと付き合う」ことが前提のような。私が翔吾くんと別れることを疑っていないような。
 それは、本っっ当に、困るんだけど。

 アパートの前、立ち止まる。
 この話は、もうここで終わりにしたい。終わりにして欲しいです。
 切実です。

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