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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白

「あかりちゃん、部屋に入るよ」

 ケントくんは私の手を引いて、階段を上る。不機嫌はまだ直らない。私の部屋の扉を開け、ケントくんは私を玄関に押し入れる。
 既に、部屋の電気はついている。
 ……あれ?

「ケントくん、カギ、どうし――んむっ」

 玄関の壁に背中と両腕を押し付けられ、唇が乱暴に重ねられる。歯が当たりそうなくらいの口づけをされ、口内を舌が犯していく。

「あっ、やだっ」

 ブラウスのボタンが外され、キャミソールがたくし上げられ、ブラから乳房が取り出される。その先端をペロリとひと舐めされただけで、ビリリと体が疼く。

「やっ、ん、ケントく」
「……濡れてる。あかりちゃん、そんなにあいつを受け入れたかったんだ?」

 ストッキングの上からでもわかるくらい、ショーツもその奥も濡れてしまっている。スカートをたくし上げられて指で確認され、私は羞恥に身悶えるしかない。

「だっ、て……好きな」

 だって好きな人なんだもん。好きな人から求められたら、受け入れたくなるでしょ。
 声にならない抗議は、唇の中に消えていく。
 それより、カギは? 何でケントくんがここにいるの?
 疑問が浮かぶけれど、尋ねる機会がない。熱い唇と舌に邪魔され、言葉が紡げない。

「……挿れたい」

 甘い吐息に混じる熱。体がぞくりと粟立つ。
 さっきは荒木さんの好意を受け入れようとしていた体が、今度はケントくんの行為を受け入れようとしている。
 結局のところ、私の体は、精液が搾取できれば相手は誰だっていいのだろう。
 誰だって、いいのだ。たぶん。


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