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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白

「僕がパートナーになってって言ったときは断ったのに、何で他のセフレならいいわけ?」
「……ケントくん、妬いてる?」
「多少はね」

 ソファに先にケントくんが座って、その膝の上に座るよう要求される。ケントくんに背中を向けて座ろうとしたら、向きを変えられた。
 結局、向かい合わせで、ケントくんの太腿をまたぐように座る羽目になっている。
 ケントくんはTシャツ一枚しか着ていない。トランクスは洗って窓の外。つまり、彼の下半身が丸見え。これはちょっと恥ずかしい。

「じゃあ、僕も彼氏になる」
「え、やだ。さすがに中学生を彼氏にはしたくないよ」
「あかりちゃんはカタイなぁ。インキュバスに年齢なんてないようなものなのに」

 確かに、ケントくんは中学生にしては老け顔だし、体の成長も止まっている。成人男性よりも高い身長は中学生にしては目を引くが、あと何年かすれば「ちょっと高いね」程度になる。
 私も二十五歳にしては若いと言われる。二十歳前後の姿なのだから、仕方がない。
 でも、ケントくんは今は中学生。制度上では。彼氏だと公言するわけにはいかない。

「好きな男には簡単に流されるくせに、僕には流されてくれないなんてムカつく」
「……ごめんね? あと三年待ってくれたら」
「十八? あのね、あかりちゃん、僕は」

 Tシャツの上から乳房を揉みしだきながら、ケントくんは私にそっとキスをする。

「僕は?」
「僕は……そのときにはもう日本にはいないの」

 寂しそうな視線がぶつかる。そういえば、彼は日本に「来ている」だけだった。

「スウェーデンに帰るの?」
「向こうの大学に行くつもりだからね」
「そっか。寂しくなるね」

 ぎゅうと抱きしめられて、視界がぐるりと反転する。背中にソファの感触。目の前にケントくんの顔。押し倒された。
 ケントくんは真剣な目で私を見下ろす。

「本当に、寂しい?」
「え?」
「僕がいなくなったら、寂しいって思う? あかりちゃんは寂しいって思ってくれる?」

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