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サキュバスちゃんの純情《長編》
第10章 黒白な告白
「いろいろ作ったら、帰るね」
「……ありがとう」
熱を持ち、汗ばんだ額にキスをして、湯川先生の太腿から降りる。本当はカチコチのそれを口で抜いてあげたいけど、止められなくなってしまう気がするからやめておく。
行為も止められないけど、想いも溢れてきてしまいそうで、困る。困らせてしまう。それは嫌だった。
「食べたら、寝てね」
「……わかった」
「おやすみなさい」
名残惜しそうな先生の視線に気づかないふりをして、寝室を出る。そして、溜め息をつく。
先生に会えて嬉しい。
でも、先生を失いたくない。
先生の幸せを願っている。
でも、先生が幸せでない関係は終わりにしなくちゃいけない。
先生の幸せが出世の先にあるのなら、私ではその幸せを与えることができない。彼女なら先生に、望みのものを与えられる。
そういうことだ。
諦めるしかない、と思った。
翔吾くんには「諦めないで」と言ったのに、私は先生を諦めようとするなんてバカみたい。
本当に、矛盾している。
胸が痛い。苦しい。つらい。
忘れていた。
好きだという気持ちは、こういうものだった。
好きな人と別れるということは、こういうことだった。
涙で前が見えなくなるくらい先生のことを愛しいと思うのに、やっぱり、うまくはいかないんだ。