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サキュバスちゃんの純情《長編》
第11章 幸福な降伏

『あなたを守れるくらい強くなりたい』

 血は争えないなぁ、本当に。
 旭さんと同じこと、言っているよ。旭さんの曾孫が。

「どうしたの、あかり。なんで、笑いながら……泣いているの」
「ううん、何でもない。幸せだなぁと思って」

 同じことを言われたことがある、とは言わない。言えない。
 心配そうな翔吾くんの頬に口付けて、笑う。

「幸せだよ、私。翔吾くんに愛されて、翔吾くんを愛して……幸せ」

 翔吾くんは目を細めて笑う。面影はなくとも、彼の中には旭さんがいるのだ。

「ねぇ、あかり」
「はい」
「また、いつか、時が来たら――」

 唇に触れる指は熱い。

「――教えてね」

 何を。
 聞く前に、唇が塞がれる。
 強く抱き合って、お互いの熱を感じ合う。肌で、唇で、膣内で……心で。

 聞かなかったことにする。その小さな声を。

「……隠していること、ぜんぶ」

 そうだね、いつか。
 時が、来たら、だね。

 隠していることぜんぶ、話すよ。

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