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サキュバスちゃんの純情《長編》
第12章 性欲か生欲か
「やっぱりお風呂は大きいとこがいいなぁ」
乳白色の湯がザブザブ揺れる。透明なガラスの仕切りは、今はもう曇って目隠しの役割を果たしている。
ホテル内のフレンチレストランのディナーは、ものすごく美味しかった。瀬戸内周辺の魚介類と野菜、肉の美味しさに、湯川先生も翔吾くんも驚いていた。
鮮魚は近隣で水揚げされたばかりのもの。口の中でとろけるロースは広島産黒毛和牛。プリプリのタコは三原のもの。デザートに使われる砂糖は香川の和三盆。とにかく、東京ではすぐには食べられないものばかり。
――贅沢な時間だった。
「っ、ふ、あ……んん」
乳白色の湯が、二人の姿を隠す。その情事さえ、隠してしまう。
西条の地酒も美味しかった。さっぱりした喉越しの、辛口のお酒。名前、何だったかなぁ。思い出せないなぁ。
「はい、あかり」
目の前に現れた赤黒い美味しそうな棒を、私は迷うことなく口にする。洗ったばかりのそれは、ボディーソープの香り。鈴口からは先走りが溢れている。
「新居? さすがにこのサイズの浴室を探すのは難しいだろ。マンションなら家賃が高くなるだろうし」
「望さん、本当に開業しないの? 家、建てちゃえば?」
湯川先生の悩む声と共にザバと波が立つ。深く深く腰を落とすよう誘導されて、穿たれた奥からまた蜜が溢れ出てくる。
喘ぎ声は翔吾くんの先走りと一緒に飲み込んで、ふわふわとした意識の中で二人の会話を聞いている。
んん、美味しい。