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サキュバスちゃんの純情《長編》
第14章 小咄(一)

新大阪駅→新神戸駅

「で、どこの病院に行くの?」
「神奈川と名古屋と新潟から声がかかってる」
「新潟はダメでしょ。あかり、寒がりだから」
「一番条件はいいんだけどな」
「開業は?」
「まだそんなに金が貯まっていないからなぁ。あと十年は働かないと」
「ふぅん。医者って案外儲からないんだね」
「お前、開業するのにどれくらい金がかかると思って……!」

 翔吾の意地悪返し第二弾、望に着弾。


◆◇◆◇◆


新神戸駅→岡山駅

「金持ちは金がない苦労を知らないからなぁ」
「まぁ、物心ついたときから投資とか株とかの英才教育だけはされていたからね」
「金持ちの教育方法だな、それ」
「おかげで、ものすごくお金に困るってことはないから、親には感謝してるけど。でも、望さんだって医者の子でしょ? お金には苦労していなさそうだけど」
「……開業医だった父親が亡くなってから、借金だらけだったけどな」
「なるほど。道理で開業するのに躊躇してるわけか。病院残ってないの?」
「ローンを繰上返済して、もう売った」
「ふぅん」

 オトナの懐事情。

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