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サキュバスちゃんの純情《長編》
第2章 週末の終末

 擦りむいた膝は水洗いをして絆創膏。捻った左足は、冷却したあとでテーピング。精神科医なのに、手慣れたものだ。

「二日は保冷剤などで冷やして、三日目からは温めてください。捻挫の応急処置の冊子が……あぁ、あった。これ、差し上げますので」
「ありがとう、ございます」

 捻挫をしたときの対処方法、と書かれた小さな冊子を受け取って、頭を下げる。
 診療所はあの大きな家と廊下で繋がっていた。病院特有の薬品の匂いが鼻をくすぐる。嫌いではない。
 水森さんは使ったものを元に戻したり、メモを残したりしている。私に背中を向けたまま、ぽつりぽつりと呟く。

「水森は代々医者の家系で、今は父と長兄――先程の兄が診療所をやっています。次兄は海外にいるのですが、今はどこの国で医者をやっているのかわかりません」
「……」
「水森の一族が東京にやって来たのは、戦争が終わってからだと聞いています。曽祖父が決断したそうです」

 何の話だろう。
 水森さんのルーツなんか聞いても、私には関係のないことだ。

「水森は、東京に出てくる前は、広島の小さな港町に住んでいたそうです。商業も盛んで、造船所も多い、瀬戸内の穏やかな海に面した、坂の街と呼ばれた町です」
「……」
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