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サキュバスちゃんの純情《長編》
第3章 迷惑な思惑
「良かった。内側に柔らかいシリコンを使ったからね」
「色は銀より黒とか紫とかのビビッドな色と、パステル色があれば女の子も買いやすいかなぁ」
「ジョークグッズとして、ね。あと、音はうるさいかな?」
「ガチャガチャうるさいけど、男の人はそれで興奮するんでしょ? わざと?」
「正解。わざと音が鳴るようにしてある」
「やっぱりね」
よいしょと抜こうとすると、腰を押さえられる。あれ、続けて二回戦かなと相馬さんを見つめると、唇に啄むようなキスが重なる。
「あかり、何から逃げてるの?」
「……え」
「二週続けてうちに来るなんて、今までなかったじゃん。何かあった?」
鋭い。
相馬さんは鋭いなぁ。
今まで、二週続けて会うときは、たいてい宮野さんだったから。
「電話もよく鳴っているし。あれ、他の男でしょ? 出なくていいの?」
「ん……いいの……ほんとは良くないけど」
「ほーら! 良くないんじゃん」
先週は「体調が悪くなっちゃって」と湯川先生に断り、今週も同じ手を使ったら、かなり心配されてしまったのだ。「看病しようか?」と言い出した先生を放置している私は、やはり逃げているのだろう。
「あかりに何人セフレがいるのか知らないけど、ちゃんと皆平等に愛してあげなきゃダメだよ。その愛が、嘘であってもね」
「わかってるんだよ? でも、会うのが怖くて」
「何で怖いの? 暴力でも振るわれた?」
「違う、違うよ。そんなんじゃなくて」
私は何が怖いのか。
わかっている。私は。