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サキュバスちゃんの純情《長編》
第3章 迷惑な思惑

 正直に言うと、相馬さんに会うのは体力的にキツい。道具を使ってイカされ続けるし、中で受け入れるのも一苦労。だから、彼とは土曜日に会い、一泊して日曜日に帰る。
 当の本人は私の疲労度には全く気づいていないけど。それが相馬さんらしい。

 相馬さんの住むマンションを出て、放ったらかしだったスマートフォンを確認する。着信履歴に並ぶ名前は湯川先生を想像していたけれど、違った。

「翔吾くん?」

 余程の用事だったのか、不在着信もあったし、メッセージアプリにも不在着信の履歴がある。
 建物の日陰に入り、アプリの画面をスクロールして翔吾くんからのメッセージを読む。

『あかり、ごめん。健吾が興奮してて』
『迷惑かけるかも』
『今どこ? 会える?』
『健吾に何か言われても気にしないで』

 ……健吾くん? どうかした?
 切羽詰まったメッセージに、何があったのか全く想像がつかない。慌てて通話ボタンをタップすると、すぐに翔吾くんが出た。

『あかり! 大丈夫!?』
「え、何が? 大丈夫だよ?」
『今どこ? 迎えに行くから住所教えて』

 だいぶ慌てているなぁと苦笑して、わかりやすい店はないかなとあたりをきょろきょろと見回す。

「あー……いいや、翔吾くん。またあとで電話する」
『え、でも、あかり――』

 ごめんね、翔吾くん。
 私は、角のところでこちらを睨みつけている見覚えのある顔に、笑みを浮かべて近寄っていく。

「健吾くん、こんなところでどうしたの?」

 努めて明るく。何も知らないふりをして。

「私に何か用?」

 さて、話を聞こうじゃないの。

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