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サキュバスちゃんの純情《長編》
第3章 迷惑な思惑
「だっ、だから、セッ……オトモダチには平等に会うなら、翔吾にもちゃんと会ってやれよ」
「翔吾くん、今、前期の試験期間中だから会っていないだけだけど」
「はあっ?」
素っ頓狂な声をあげて、立ち上がって、目を真ん丸にして、健吾くんは珍獣でも見るかのような目で、私を見下ろした。
「あ、あんた、翔吾の学業を優先させてやってんの!?」
「え、うん」
「で、性欲は他の男で発散してんの!?」
「うん」
「なん――」
ぷつんと緊張の糸が切れたのか、健吾くんは椅子に座って、手足をだらんとさせ、空を仰ぐ。
魂、入っていますか?
ていうか、健吾くんも試験期間中だよね? こんなことしていて大丈夫?
「何っっだよ、それ」
「冬の後期も同じだったよ。確か、試験以外にレポートも多いんでしょ? そのときはこっちの宮野さんに何回も会っていたんだけど、この間彼の結婚が決まって関係を解消したんだよね。それにしても、この写真、よく撮れているね。ちょっと欲しいかも」
「ほんと、何だよっ」
空を仰いだまま、健吾くんは呟く。
何だと言われても。性欲に溺れて学業を疎かにしてもらいたくないだけなんだけど。セフレらしからぬ理由がそんなにマズかった?
まぁ、若干、健吾くんのことは念頭にはあったけど。でも、一番の理由は学業だ。セックスのしすぎで留年しました、なんて洒落にならない。笑えないのだ。
「俺のせいじゃないのかよ……」
両手で顔を覆い、健吾くんは呟いた。その言葉にきょとんとしたのは、私のほうだ。
――あぁ、それが、本音か。