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剛 to 舞依
第1章 剛の「剛 ing 舞依」 イブ

「ほら、剛!」
彼女の横顔で思い出に浸っていると
ヒロに背中を突かれて
脇のゴミ箱の臭いが蘇る
「お、おう!」
「行けよ」
ヒロが顎をしゃくる
彼女の手前
花を持たせてくれるようだ

一応相手は10人
こっちもそれなりの殺気を出して行くぜ
「オイオイ、テメーら」
斜に構えながらがに股で広場に出ていく
「そいつぁうちの先公でよ、こねーだの礼がしてーから、先ぃこっちへ譲れ!」
「ナンだテメーは?」
最寄りのヤツが振り向いて見上げてくる

どこの連中か知らんが
ホントのワルでも無さそうな
笑っちゃうくらいかわいらしい
「こっちの用が済んだら後は好きにしな」
上から睨みながら語気を強く威しあげた
後ろにはヒロの気配
ヒロは他の連中を睨み回しているようだ
「…おい、アイツらドン校じゃねーか?」
誰か気付いたようでヒソヒソ声が聞こえてくる
「デカイのは狂犬…伊澤?」
「ゴツいほうはグリズリー、岡田?」
「ヤバイんじゃね?」
奴等ざわざわと腰が退けてきたようだ
「コラ!」
ヒロと二人同時にもうひと足踏み込んで威嚇すると
「ヤバっ!」
連中はバラバラと逃げ出した
「トモくんっ!」
内海は
逃げ遅れながら最後に走り去る
茶髪のおぼこい奴に声をかけていた

「…何だ知り合いか?」
「?2-Cの伊澤くんと岡田くん?」
「あのトモって、前の学校の教え子かなんか?」
「…弟なの、恥ずかしながら…」
「何だ弟か」
「大附校に行ってるんだけど」
「だいふって進学校じゃん、どーりでおぼこいわけだ」
「この間の成績が悪くてね、髪を脱色して不良グループに入っちゃったのよ」
「成績悪くて脱色してたら俺もヒロも白髪通りすぎて透明になってら」
「お前と一緒にするな!」
ヒロが呆れた顔でツッコんでくる
「…それで弟説得しに来たのか?」
「まあ…」
「気持ちは分かるけど、ここらはヤバイんだから女一人で来るんじゃねーぞ」
「でも…」
「どうしてもっつーなら俺たちがガイドするぜ」
「…あのね、あなた達も出入りしないのよ!」
「俺達は大丈夫だって!」
「…それにしてもあなた達有名なのね」
「そーでもねーよ」
「狂犬にグリズリー?」
「なぁに、ホントはスヌーピーとプーさんだよ」
「オイオイ誰がプーさんだ!」

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