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おにいちゃん、おしえて。
第3章 おにいちゃんと、ふたりきり。
「あ、おにいちゃん、それ気持ちいい」

その優しい手つきが嬉しかった清花が、英司の顔を見ようと振りかえると、温風に吹かれたうぶな黒髪が舞った。

むき出しになった白い首筋が英司の目を奪う。
女を感じるそのラインに動揺した英司は、すぐに手元のスイッチを切った。

「乾いたな」
「あっ、ありがと。ねぇおにいちゃん、このみかん食べないの?」

清花の指先が、みかんにぴとっと触れる。
自分が食べたくて言っているわけではない。
間接キスの行方がどうなるのか、清花はずっとドキドキしていたのだ。


「食いたいなら食っていいよ」

英司は、さっきから胸に燻っている動揺を少女に気付かせないようにしながら、ドライヤーを片づけに立ち上がる。

……だめだ。
清花の何もかもが――美しい肌やしっとりとした髪、桜貝のような爪までが、全部そういう風に見えてしまう。
さっき風呂で抜けばよかった……。
また風呂に入るのも不自然だし、早く清花を寝かせて、それから抜くか。

モヤモヤ……いや、ムラムラしてしまって、冷静ではいられない。
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