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おにいちゃん、おしえて。
第3章 おにいちゃんと、ふたりきり。
英司は自分の髪も乾かした後、はーあと溜息をつきながら、こたつでちょこんと暖まっている清花の向かいに、距離を取って座った。

柑橘の爽快な香りがしている。
清花の桃色の唇が小さく開き、ひと房口に含む。
そしてまたひと房を指先で取り、次は英司に向けてきた。

「おにいちゃん、あーんして」
「……俺はいいよ。清花が食べて」
「これ、元々おにいちゃんのだもん。最後のひとつだし、ね?」

瞳を潤ませるようにお願いする、清花の姿。
英司は仕方なしに前のめりに身を寄せて、彼女に手のひらを出すと、ぷるぷると横に首を振られた。

「あーんして?」

少女の指が、英司の唇に触れた。


間接キスが達成できた清花は、その後もゴキゲンだった。

一方、英司はぐったり。
思ったより、清花は強敵だ。


清花の親にも信用されて任されているのだから、不可抗力とは言え、尻を触るなんて言語道断だし、みかんの「あーん」とかかわいすぎか。なんかエロいし。

俺だったからいいものの、他の男だったら即食われるぞ……。

っていやいや、違う違う。
どうしても思考がそっちに行きがちだ。
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