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おにいちゃん、おしえて。
第10章 おにいちゃんと、いっしょ。
「おにいちゃん、いいの? 私はもう帰れるけど……おにいちゃんの部署忙しいでしょ?」
「今日はいいよ。それより、早く……」

早く、二人きりになりたい。


連れてきたのは、入社時から一人暮らしをしている英司のマンション。
背の高いドアを開け、清花に入るように促した。
その時、清花が英司の心を探るような瞳を向ける。

「…おじゃま、します。」
その、少女のような瞳は、昔と変わらない。


広いリビングで、沈黙が流れる。

あの頃より渋くなったおにいちゃんは、今でもとてもかっこいい……。
清花は熱のこもった目で英司を見上げるが、英司は落ち着きなくネクタイを外し、ジャケットを脱ぎながら言った。

「――ちょっと、電話していい?」
「え? どこに……お仕事?」
「ううん。清花の家に」
「ええっ?」

何故家に?
清花はそう思いながらも、番号が変わっていないことを伝える。

「おじさん帰ってるかな」
「うん、たぶん……この時間なら……」
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