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甘蜜トラップ
第4章 惰性と欲求
やっと少し身体を休ませられる時間ができたと思い、精一杯落ち着かせようと沢山呼吸をしていると後頭部をてのひらで押し付けられるようにして口付けられた。
反射的に口を閉じてしまったものの、唇を裂くように侵入してくる舌先は硬く、容易にその中へと招き入れてしまった。
「ん、」
ぐ、っと押し付けられたままの後頭部。唇はこれ以上ないほどひっつき、鼻呼吸でさえ追いつかないくらい激しいキスをする。
暴れ回る舌に必死に絡めていると、下腹部に硬いものが当たるのを感じて少しだけ目を開けた。柳瀬の長い睫毛がふるふると揺れ、その濡羽色の強い瞳で私を見る。
駄目だ、近過ぎて……刺激が強い。
「ふ……ぅ、んん」
離れていった舌と唇と、大きなてのひら。荒い呼吸を整えようとしつつ目線を下にやると、柳瀬の骨張った手がコンドームを持っているのが見えた。
「ゴム、つけるの?」
「……」
「ごめんって」
そんな当たり前のことを聞くなって顔だ。私が馬鹿なの? そうなんだろうけど……優しいんだね、やっぱり。
「……いい?」
「なんで聞くの、」
「愚問だったかな」
くすりと笑う、その表情さえも下腹部を疼かせる。はやく挿れてほしい。壊れるくらいーー……私、いつの間にこんなに柳瀬に惹かれていたの? それともこの空気がそうさせている?
錯覚ならいいのに。