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甘蜜トラップ
第2章 快楽と堕落
「俺やっぱお前のそういうとこすげー好き」
言って、瑞樹は私の身体を抱きしめた。
優し過ぎるくらいにそっと触れ合う。
「私も瑞樹のこと好きだよ」
恋人でもないのに、ないからこそ、普通に好きとか言えてしまう。本当に好きな人が出来たって言える気がしない。世の中のカップルはすげえなって思うし。
私には無理だ。
この安定した距離感を保てる付き合いが一番合っている。一喜一憂したり、乙女な感情が全然分からない。
「暑苦しいから離して」
「ベッドの上では可愛いのに普段クール過ぎ」
「うるさい。教室戻るよ」
「クラス違うじゃん俺ら、最悪ー」
「来年は一緒になれるんじゃないの。私は別の方が嬉しいけど」
「んんん? なんだそりゃ、お前まさか浮気してんじゃねえだろうな俺以外の男とあんなことやこんなことをしてんなら逐一報告してくれ」
「いや絶対しないでしょ気持ち悪い」
「んー、でもまじな話さ、他にいんなら教えろよな。そしたら俺も他の女作るしー」
なんだそれ。
教室に戻る途中、柳瀬とすれ違った。一瞬だけ目が合ったけど、彼は私から目をそらして他の生徒に微笑みかける。
なんだ、こっちにはツンツンした顔で他の自分を好いてる女子生徒にはデレデレしちゃって、馬鹿馬鹿しい。
「柳瀬ってさ」
「んー?」