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甘蜜トラップ
第2章 快楽と堕落




「橘のお父さんは俺みたいな人?」

「えー、全然違う」

「そっか」


教師という立場でありながら置かれた椅子に座ることなく机に腰掛けた柳瀬を見て、この人なんなんだろうって思った。

説教するでもないし踏み込んでくるでもないし、ただ普通に会話してるだけで。

変な人だな……。


「私そろそろ帰らないと」

「親御さん? ああ……そりゃ用事もあるよな、無理に呼んで悪かったかな」

「いや瑞樹に、あ、いや」

「浅木?」


少し険しい表情をする。
柳瀬は瑞樹となにかあったんだろうか、やけに瑞樹に対して冷たいように思えた。


「なんでもない。先生、じゃあーー」


足の向きを変えて扉に手をかけた途端、後ろから腕を引かれた。「なに」と振り返ると、真っ直ぐにこちらを見ている柳瀬がいて少し驚いた。


「……え、なに?」

「橘、浅木とは付き合ってないんだよね?」

「え、うん」






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