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甘蜜トラップ
第2章 快楽と堕落
ーー……そんな殺風景なままの日常が何度か繰り返されて、気が付けばテストも終わって、あっという間に瑞樹とも距離が開いて、穴を埋めるように別クラスの元セフレの佐々木にまで声をかけた私は確実に馬鹿者だ。
「待ってたよー? 連絡全然くれないしね千歳ちゃん」って言われて求められてる気になった時点でもう終わってる気しかしない。
最悪。
自分に対してクズだなって思う回数が日に日に増える。
文化祭って明日だっけ。準備まともにやってないけどなにも言われないってことは頼むから関わらないでくれ的な感じで思われてんのかな。それか私が話しかけるなオーラでも出してるとか。いや、馬鹿馬鹿しい。
今日は佐々木に遊ぼうと誘われていた日だ。こんな日に限って放課後、柳瀬に呼び出された。待たすのも詮索されるのが嫌だから佐々木との今日の遊びは断ったけど……半端に関わるのが一番悪いことくらい知ってるのに、自分の情緒がおかしい。唐突にコントロール不能になる。
柳瀬が指定したのは相変わらず放課後の裏階段。
なんか訳ありっぽい。
裏階段に向かうと柳瀬は階段の一番上に腰掛けて煙草を吸っていた。今日は隠す気がなさそうだな……。
「先生、個人的に呼び出すのは最後にしてって言ったよね。また裏階段だし。来たくなかったんだけど」
もしかしたら瑞樹が他の女とここで、とか考えてしまっていたから。
「個人的だって分かってるのに橘は来てくれるじゃん」
「……別に来たくて来てるんじゃないし」
「そっか」
「で、なに先生」
分かってるけど。
どうせ、
「橘、この前ジェラートの店にいたよね。浅木と」
それだ。
ていうかそれしかない。呼び出されたら黒、なかったら白、だと思っていた。反応ないから白だったんだって勝手に思ってたけど、この感じは違うな。
ただ、これが昨日今日のことではなく、もう暫く間が空いていることに引っかかりを覚えた。先生がなにを考えているのか。
……まあいいや。