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甘蜜トラップ
第3章 感情と強制
「柳瀬っていくつなの?」
「それ、知らないの橘くらいだよ」
「自意識過剰?」
「担任ですって挨拶したときに前田に質問されて答えたしね」
「えー……聞いてなかった。教えてよ」
「25、今年で26か」
「若いんだね」
「いや15、6に言われたくないんだけど」
「16だよ。4月だから」
「ふうん」
10歳違う。
うわあ、こう考えると私って子供だ。ガキって言われてもしょうがないな。
脚をたたむように体育座りに変えて、背中を丸める。
「上からだと橘のつむじ丸見え」
「見るな変態」
「えー、若い子のつむじ見ただけで変態呼ばわり? 酷いね、生きづらい世の中」
なにが楽しいんだろう。
私といて、私の横で煙草吸って、楽しいのかな。笑ってるってことは楽しいってことなのかな。瑞樹といるときは当たり前のように笑ってたのに、柳瀬だとなんか違う。大人と子供って感じかな。
「……柳瀬」
「なに」
「もっかいして」
「なにを」
急に冷たい声色で。
ちょっと、向かい風に吹かれたような気分。
「キス」