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甘蜜トラップ
第3章 感情と強制
「あー、こういうのって贔屓って言われるんだっけ」
パッと手を離した柳瀬は困ったような顔で私から目をそらし、ぽりぽりと頬を人差し指で掻く。
「そうだよ。優しすぎて先生のこと好きになっちゃうー」
「嘘が下手くそ過ぎでしょう」
「な、」
「あとキスも下手くそ。それから、」
「それからなに?」
そっと顔が近づいてきて、柳瀬は私の耳元に唇を寄せた。
「中でイけない」
「っ……!」
柳瀬の香水と煙草の匂いが入り混じって、耳元に響く低音の声が独特の空気を作り上げる。近くで聞くと目眩がしそうなくらい、大人の色香を孕んだ声で。
咄嗟に浮かんだ言葉は欲求のままに“壊されたい”で、思わず唾を飲んだ。
「顔真っ赤だけど大丈夫?」
「変態教師じゃん」
「うん?」
「てか……その、なんで知ってんの、気持ち悪い」
「いやあ、お前らがこんなところで何度かそういうことしてるの見かけてたしね。覗きってわけじゃなく裏階段が煙草吸うのにちょうどいいなーって思ってたら先客がいて諦めたりしてたってだけ」
「な、んで見てたのに……」
「いや、真っ最中に割り込まれて嫌なのは橘じゃない?」
「……確かに」
下着も脱いであんな格好してる状態で顔合わせとか無理だ。
「避妊もしてたみたいだからとりあえず見逃したけど学校でするなよって忠告しようとは思ってた。この間、下から見上げたときに窓に手ついてる橘見てからさすがに言わないと駄目だなって思ったよ」