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甘蜜トラップ
第2章 快楽と堕落
幽霊部員なりに部活に参加しようと思っていたところだったのに、全くもってやる気がなくなった。もう部活辞めちゃおうかな。
保健室に向かうと、相変わらずのキラースマイル響(ヒビキ)さんがいた。保健医、だと思う。色気が半端なくてこれにやられる女子生徒は数知れず。でも響さんは女だ。女でも見惚れるくらいの美人ってこと。美人になら女でも抱かれたいって思っちゃう。私も例外じゃない。
「どうしたの、橘さん」
椅子に座ったままくるりと身体をこちらに向ける。
目が合うとそらしたくなる。怖いくらい綺麗で。
「浅木 瑞樹(アサギ ミズキ)、来てませんか」
「浅木君なら寝てるわよ。サボりみたい」
「そうですか」
カーテンを開けると瑞樹はベッドに寝転んで耳にイヤホンを突っ込んでいた。寝ているわけじゃなさそうだけど、サボりは本当かも。放課後だってこと気付いてないんじゃないかと思う。
瑞樹は物音で人の気配を感じたのか瞼を押し上げてこちらを見た。目が合うと、彼は「なんだお前か」と言って私の後頭部に手をまわし、そのまま顔を自分に寄せた。唇が触れ合う間際で、ふと視線を感じてやめる。
「響センセ、盗み見は変態ですよ」
「浅木君、あんまりサボり過ぎは駄目よ」
「あーい、分かりました」
「それから橘さん、あんまり男の子をからかうのはよしなさいね」
「ああ……はい……?」
なんだ、本当怖いな。
でも響さんの声もキラースマイルも嫌いにはなれないっていうか憎めないっていうか。