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甘蜜トラップ
第3章 感情と強制




晩御飯も用意してくれて、食べ終えた後はふかふかの黒いレザーのソファーに座ってテレビを見ていた。50インチはありそうな大きなテレビで、電気屋以外で見たのは多分初めてだ。


「今回の月9面白くないよね」

「そう? 普段見ないから分かんないけど。面白くないとか言いながら見るんじゃん」

「まあ……確かに」

お菓子もお皿に盛って用意してくれて、餌付けでもされてんのかなって思った。

「橘」

「うん?」

「これ終わったら風呂入っておいで」

あんまり人を見ずに言う人なんだなあ、と柳瀬の横顔を見て感じる。意図せず目が合うことが珍しいかも。

「柳瀬も一緒に入る?」

「冗談はなし」

「本気だったらいいの?」

「駄目」

「けーち。瑞樹なら間違いなくノってくれるのにな。着替えとかないけどどうしたらいい?」

「……」


じ、っと。
無言で見つめられる。
唐突に、だから余計に吃驚する。何度見ても柳瀬の黒い瞳が少しだけ怖い。何考えてるかわかんない感じの人。




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