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甘蜜トラップ
第3章 感情と強制
意識が遠のいて、夢現つな状態でいると外から名前を呼ばれた気がした。気のせい、かな。
「橘!」
気のせいじゃなかった。
はっと目を開けると口まで浸かっていたことに驚いて泡がぶくぶくと出来上がる。はあっと大きく息を吸ったせいで一瞬だけ溺れたような感覚になった。
「大丈夫?」
ドアの向こうで柳瀬の気配がする。僅かなシルエットが見えた。
「上がるー」
一言告げると人影は離れて行く。
バスローブを身に纏い、頭にタオルを乗せてリビングに向かう。下着は洗濯機の中。回ってるけどすごく静かで驚いた。
「あー、橘良い匂いする」
「こっちの台詞だよ。このシャンプー好き。トリートメントもさらっさらになるじゃん。メンズものじゃないんだね」
「まあうちは姉が来たりするからね」
「お姉さんいるんだ」
「うん。あ、下着買ってこようかと思ったんだけど結局洗ってから使うよなって思ったから、乾くまで待って」
「ねえ、これすごい羞恥プレイな気がしてきた」
「気にしなくて良いよ」
「私が気にする……」
「橘もそういうの気にするんだ」
「馬鹿にしてんの? 私の羞恥心まだ死んでないから」
「そうじゃなくて」
ああ、裏階段なんかで股広げてしまうような女が今更恥じる違和感なのかも。分かる分かる私も人に見られてるって分かってたらやんないよ。
「……柳瀬も入って来たら、お風呂。一緒にいると恥ずかしい」