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甘蜜トラップ
第3章 感情と強制
当然のことだけど柳瀬をベッドまで運ぶのは無理だ。布団を持ってきて被せると、寝返りを打った。でも目は覚めないんだ。
どういうつもりでキスしたんだろうとは思うけど、それに対してあーだこーだ言うほど私は多分綺麗じゃない。
相手が柳瀬だからかもしれない。瑞樹でも多分一緒。さすがに見ず知らずのおっさんだと無理だけど、顔見知りで既に経験済みの相手なら気にならないのかもって思う。
単純に、特別じゃないから。
ーーだと思う。
柳瀬のベッドで眠ることにした。図々しい女というかなかなか傲慢だとは思うけど、それでもそこにベッドがあるんだ。寂しそうにしてたんだベッドが。
寝るしかないでしょうよ。
布団からは柳瀬の匂いがした。男くさい感じのしない爽やかな香り。香水とは違うから洗剤かな。体臭が爽やかないい匂いだったら怖いし。
少し安心した。
眠っていても別の部屋に誰かがいることに安堵する。それが嫌いな人だったら絶対嫌だけど、少なからず好意を抱いている相手だ。そういう人がそばにいるってことはすごいことなんだなあって……思うから、想像した。妄想かもしれない。
小さなライトに照らされて真っ暗ではない部屋で天井を見つめ、ぼうっと考える。そこまで頭がシャキッとしているわけではないけど、頭の中でストーリーが作れるくらいには働いている。
瑞樹と仲直りして、笑い合いながら登下校したいとか前みたいに家に行きたいとか、そういうのが叶ったらっていうシチュエーションで繰り広げられる。
寂しい。