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甘蜜トラップ
第3章 感情と強制
「ーーふ、っぁ、」
時折聞こえてくるベッドシーンの喘ぎ声より、自分の声の方が主張していることに気付いたのは柳瀬が私の服を捲り上げて胸に触れた頃だった。
私からキスをして、誘って、まるであの洋画の中の女と同じ。男を誑かすわけじゃないけどやってることやろうとしていること、やりたいこと、は同じ。
「ん、くすぐった」
脇腹を指でつうっと撫でられると、身体が変に動いてしまう。捩る姿を見て柳瀬はおかしそうに笑い、執拗にそこで遊んだ。
「や、めっ、はぁっ」
だめだ、くすぐったい。
息が苦しい。
『そう、貴方じゃなきゃ駄目なの、私。今日は2人っきりで、どうかしら』
くすぐったいだけなのに身体が熱を帯びて、だんだんと頭のてっぺんまで熱くなってくる。テレビのせいだ。きっとそうだ。でも、テレビはベッドシーンとは関係なさそうだった。
「橘、」
「ん、なに、柳瀬……っ」
ちゅ、とリップ音を立ててキスをする。下唇だけを食むようにして揺らしたりと遊んでいたキスから、次第に舌を滑り込ませる深いものに変わっていった。
「ふ……ぅ」
「かわいい」
「っ、な」
どう考えても慣れた手つきで、やっぱり私を翻弄する。割れ物を扱うみたいに丁寧で優しい触れ方に、息が上がった。
気付けば私は柳瀬の動きに夢中になっていて、テレビから流れてくる声や音が聞こえなくなっていた。
はだけた服も、絡み合う舌も、吐息も、音も、全部が私を煽る。