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甘蜜トラップ
第3章 感情と強制
ーー……柳瀬がおかしなことを言うから、あれ以来気になって仕方がない。
あの後アクションの洋画を観たものの、私はなんとなく落ち着かなかった。内容なんて半分ほど飛んでいるようなもの。全然思い出せないや。
授業中もぼうっとして、毎日同じような日々を繰り返している。たまに瑞樹と目が合って、たまに挨拶を交わしたりして、まあそれでもその程度。
奇妙なくらい瑞樹の近くには前田さんがいる。電話で俺が寂しいから来いって言ってくれたのはすごく嬉しかったのに、やっぱりいざ来てみると遠く感じる。
この距離感は縮まるんだろうか。いや、そもそも縮まるっていう表現が間違っているような気がする。だって近くて当たり前だったのに、奪われた感がどうにも腑に落ちない。