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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第7章 過去から来た少女
さて。
向かい合って座るカエさんと、間に置かれたほかほかの緑茶と。
カエさんは別に怒っているふうではない。でもどこかいつものよりもちょっと元気がないように見える。いつも絶やさないほかほか笑顔が今日はあまり見れていない。
エアコンの風に触れてかさり、と無造作に重ねられた紙が音を鳴らす。すっとカエさんの手が伸びてその一枚をつまんだ。
「これって…」
「あの…曲を作るのがはじめてだったもんで、インターネットでいろいろ調べてプリントアウトしたんです…」
カエさんは改めて手にした紙と積まれた紙を見比べる。部屋の隅に置かれたそれはざっと数えて三十枚はある。
「こんなにたくさん」
「はは…飲み込みが悪いもんで使えそうなやつを片っ端からプリントして集めてみたんで…」
「そう…」
昼間は僕を入れて五人の人間がこの部屋にいた。エアコンの風も人に遮られてそこまで届かなかったし、そもそもが五人も部屋に入っていれば隅に積まれた書類なんて目立ちもしない。
カエさんと僕。二人だけの部屋の中。無造作に積まれたそれはむしろ目を引いた。
カエさんはそれに目を通していく。長い髪が掻き分けられてふんわりと女の子に匂いが漂う。
…この匂い。なんでだろう、胸騒ぎがする。
でも嫌な感触ではない。遠足の前の日のような、そんな気持ち。いや、これから痴漢をする、その直前の胸の高鳴りに似ている。緊張と興奮とが混ざった心臓の音。
向かい合って座るカエさんと、間に置かれたほかほかの緑茶と。
カエさんは別に怒っているふうではない。でもどこかいつものよりもちょっと元気がないように見える。いつも絶やさないほかほか笑顔が今日はあまり見れていない。
エアコンの風に触れてかさり、と無造作に重ねられた紙が音を鳴らす。すっとカエさんの手が伸びてその一枚をつまんだ。
「これって…」
「あの…曲を作るのがはじめてだったもんで、インターネットでいろいろ調べてプリントアウトしたんです…」
カエさんは改めて手にした紙と積まれた紙を見比べる。部屋の隅に置かれたそれはざっと数えて三十枚はある。
「こんなにたくさん」
「はは…飲み込みが悪いもんで使えそうなやつを片っ端からプリントして集めてみたんで…」
「そう…」
昼間は僕を入れて五人の人間がこの部屋にいた。エアコンの風も人に遮られてそこまで届かなかったし、そもそもが五人も部屋に入っていれば隅に積まれた書類なんて目立ちもしない。
カエさんと僕。二人だけの部屋の中。無造作に積まれたそれはむしろ目を引いた。
カエさんはそれに目を通していく。長い髪が掻き分けられてふんわりと女の子に匂いが漂う。
…この匂い。なんでだろう、胸騒ぎがする。
でも嫌な感触ではない。遠足の前の日のような、そんな気持ち。いや、これから痴漢をする、その直前の胸の高鳴りに似ている。緊張と興奮とが混ざった心臓の音。