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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第3章 夜の部屋に響くあの声
「ん…う、ん…」

 またカエさんの寝息。

「ん…んん…」

 寝息。もぞもぞ布団が動く音。くちゅくちゅと湿った音。

 湿った音?

 僕の耳に小さく届く寝息は、寝息というには妙に甘い。そしてそれが何度も何度も。
 
 僕はカエさんに気付かれないようにそっと体の向きを変え、薄目を開けてカエさんを見る。
 
 ちゃぶ台を挟んで向こうの布団の中、左手を口元に添え声を抑えるようにして、カエさんが悶えている。

 これは…これって、こいつはもしかして?

 まさか、という思いと、そうであってほしい、という期待と。
 慌ただしい頭の中で「これは」の三段活用をこなし、そんなものないじゃないか、とわざと自分にツッコミ落ち着こうと試みる。

 薄暗い部屋の中、頭を動かせないのでカエさんの全体を見ることが出来ないのと、そしてカエさん自身が布団の中にいるのとで表情しかうかがうことは出来ないが、童貞の僕でも分かる。この少し切ない吐息、蕩けたような顔。

 カエさんはオナニーをしている。

 僕の心臓は床を伝ってカエさんにまで届いてしまうのではないかと思うほど、ドキドキし始めた。

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